伯耆の國の御伽草子

お気楽気ままな高齢者のグダグダ噺

伯耆の國の御伽噺(短い噺)

酔死体 佐良利男の暗闇

彼とはもうかれこれ二十年からの付き合いになる。 思えば随分と長い間、彼とは仕事をしてきたものだ。 彼の名前は、佐良利男、あと数年もすれば定年退職を迎える五十五歳。小さな機械部品メーカーの営業係長である。 利男と同期の者はみなそれぞれのセクショ…

お前も役立たず

今年もまたお盆を迎える頃になりました。お盆といっても、親戚の少ない我が家は、親戚に出かけることも、親戚が来ることも無く、毎年静かな三日間を過ごします。 でも私はこの季節なると、いつも久藻嶋君のことを思い出すのです。 そう、もうあれから二十年…

ぼくも見たよ

久しぶりじゃないか、何だい……? どうした、今日はなんの用だい? 何、夏だから怖い話が聞きたい。怖い話かぁ……? そんな話は無いなぁ……。 こう言っちゃあなんだけどね、おいらは幽霊とかお化けとかって、いるとは思っちゃあいないんだよね。 もちろん神様だ…

ボクは選ばれた人間

“慎重に審査を行った結果、誠に不本意ながら貴意に添いかねることとなりました。 つきましては、ご提出いただきました履歴書等を同封いたしましたので、お受け取り下さいますようお願い申し上げます。 誠に恐縮ですが、貴殿の多方面でのご活躍を心よりお祈り…